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執筆者の写真forcola music

2024.2.18 ライブレポート Sketch of Moments #1 メイキング編

更新日:2月25日

2月18日のforcola初のワンマンライブでは、レポートした通り、曲演奏に合わせて、ボーカル梅原の写真作品を舞台上に設置したディスプレイに表示するという、美術と音楽の融合を目指したステージ演出をしました。


本記事では、その表現に至った背景・経緯をメイキング風にお届けしたいと思います。


2/18 forcolaワンマンライブat吉祥寺MANDA-LA2(写真提供:山本製作所様)


1. 経緯(少し堅苦しい?)


forcolaのボーカル梅原貴子は芸術大学で美術を専攻し、音楽家であると同時に絵画や写真といった作品を手掛けています。情景や映画のストーリのような映像イメージを伴う歌詞や歌唱表現が梅原の特徴ですが、梅原はこの音楽と美術という二つの要素を融合した表現を模索していました。梅原の母校・京都芸術大学の通信教育部のWebメディアにロング・インタビュー記事(https://magazine.air-u.kyoto-art.ac.jp/kaze/11689/ )が掲載されており、彼女の考えを知ることができますので、是非お読みください!


梅原 貴子(写真提供:山本製作所様)

forcolaが2023年秋に発表した「into the moment」は、各曲が映像・情景イメージを持ち、全体が一つの物語となっているコンセプトアルバムです。発表前後から各曲を象徴する写真を撮影し、美術作品を作って、聴き手に伝えようと考えていました。


into the momentのアートワークはすべて梅原によるもの

2. とりあえずワンマンライブをブッキング


そんな梅原の思いを知ってか知らずか、ピアノの塚本はワンマンライブをブッキングしました。当初は映像を展示することなど考えておらず、とりあえずアルバムリリースしたし、ワンマンでもやったらよくない?くらいのノリで決めていたようです。


人生トライアル&エラーwのピアニスト 塚本(写真提供:山本製作所様)

3. ライブの内容を決めるのに一苦労・・


二人とも夏休みの宿題はためにためるタイプのようで、2.18が本番なのに対して、年明けから何する?などとのんきに話を始めました。もともとはinto the momentの各曲から想起される花の写真を販売しようか、あるいは、写真を引き伸ばして展示しようか、という構想があったのですが、音楽と映像を融合させるという梅原の野望を思い出し、演奏とあわせる形でプロジェクタで写真を投影するという案も出ました。以下は梅原によるステージ構想のスケッチ。


楽しそうな企画絵コンテですが、何だか「物販」という言葉がパワフル

花瓶があると昔のテレビ番組風ですね

静的な写真展示だとステージと融合することができない(進行も目線も)、ということで、プロジェクタ案を検討してみましたが、やはり写真を精細に色表現をきちんとしたいとなるとプロジェクタだと再現が難しそうだということで却下になりました。


そこで塚本が、大型の液晶ディスプレイを使って写真を表示するのはどうかと提案しました。塚本はピアニストであると同時にエンジニアでもあり、過去にテレビ開発の経験を持ち、いくつものディスプレイを使い、その上でコンテンツを自由に表示させる技術を持っています。


機材としては家にあるものを使えばよく、PCを使って表示させ、曲の進行にあわせて切り替えれば面白いだろう、と考えました。が、このときすでに1カ月を切っていました。。。


ディスプレイは自分の部屋のものをもっていきました。節約節約。



4. がんばって作る日々


ライブまでの1カ月弱、あまり考える時間もなく、梅原は写真と物販のためのポストカード準備を進めました。写真は、各曲を象徴する花を購入し、自宅やその周辺で工夫して撮影し、作品に仕上げています。とても自宅半径数メートル(笑)の世界観には見えない、壮大でバリエーションに富んだ作品です。オンラインでも注文可能なポストカードセットを作りましたので、是非お手に取っていただければと思います。


梅原作成のポストカード。美しい仕上がりです。

塚本は写真を曲の進行にあわせて複数のディスプレイに表示・制御するためのプログラムを書きました。

ただのスライドショーや動画再生ではなく、専用のプログラムを作る必要がありました。この詳細はまた別途メイキング(開発レポート?)で報告しますが、ざくっというと、静止画を画面にリサイズして表示、フェードイン・アウト・クロスフェードなどのエフェクト、これを複数のPCとディスプレイを同期制御するというしろものです。pythonで記述しました。進行にあわせて操作できるよう簡易的なUI(ユーザインターフェース:操作画面)を作成しましたが、もっぱらバックエンド人生、フロントエンド激よわな塚本なので、本当はやりたかったweb UIは時間の都合で実装できず、pythonのtkinterというやつで90年代風UIと相成りました。


あんまりと言えばあんまりなUI。動けばよかろうなのだ。

5. 何とか間に合った本番


毎日、深夜・早朝とプログラミング・デバッグに明け暮れ、前日に完成。さながら展示会前夜のごとく、機材を車に運び込み、当日に現場でセッティングを行いました。会場にはディスプレイ機器はなかったため、43インチ級の大型のディスプレイを2台使いました。それぞれにスタンドを使い、表示用PCを2台をネットワーク接続し、操作・確認のための別モニターを用意、設置しました。


本番では、forcolaの二人が普段よりお世話になっているドラマーの柿沼朋音さんにサポートいただきました。


念入りに操作を確認するともねさん。サポートありがとうございました!

演奏開始の数分前にPCが熱でフリーズしてしまうというとんでもないトラブルがありましたが、やっつけの熱対策で切り抜け、何とか本番を走り切りました。


柿沼さんにオペレーションいただくおかげで、映像の進行を一切気にすることなく、演奏に集中することができました。セッティング含め柿沼さんがいなければ大変なことになっていたでしょう。本当に感謝です!!


実際のライブ映像はこちらです。



ポストカードはこちら(この度、物販サイトオープンしてます!)



6. 次は?


今回、梅原が実現したいと考えていた音楽と美術の融合の第一歩にはなったのではないかと思います。お客様からもコンテンツや演出方法については好評いただき、forcolaとしてもより世界観を伝えられる手段としての手応えを感じました。


次回ワンマンライブ Sketch of Moments #2 は7月7日になります(予約フォーム)。映像と音楽の融合という形でお届けすることは間違いないので、また進化させていきたいと思います。

楽しみにしてください!!



ありがとうございました!!(写真提供:山本製作所様)

(了)


 


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